本日お問い合わせがありましたので、こちらの方へまとめておきます。

お問い合わせは、
熱が出ているけれど、鍼灸を受けてもいいですか?
というもの。

状態として、
・38度以上の熱。
・ウイルス感染症
ということとから、
熱が下がるまでやめましょう」とお答えしました。

鍼灸治療では、
・風邪の引きはじめ
・熱の上がり鼻
であれば、大椎というツボを温めることで早期に熱が引く事があります。

しかし、今回はウイルス感染症による熱。
つまり、体がウイルスを殺すために熱をあげている状態で、免疫チーム総出で戦っている状態です。
また、熱が出ると血流量も上がり、ランニング並みの心拍数になることも。

ご存知の通り、鍼灸治療では
・血流量の増加
・免疫反応を呼び起こす
事を行うことで、患者さんの体が治療を始めるスイッチを入れるものです。
体がウイルスに全力で対応しているときに、治療をしても、
「こっちが先や!!」と無視されるか、
「そんなに仕事詰め込まんといて…」とパニック(何もできなくなる)状態に。

ですので、「風邪の引きはじめ」「病後のケア」には治療を行いますが、「発熱中」には手を出しません。
だって、必要だから熱を出しているんですから…
急性の下痢を止めてはいけないのと同じです。 

ゆっくりお休みになって、体内の戦いの方にエネルギーを分けてあげてください。
何事にも、例外というものがあります。
高熱が出てるときは、鍼灸をしないというのは絶対ですが、
発熱でも「なんか熱っぽい」という感じの、微熱・平熱の場合もあります。

こちらは免疫力を上げるための熱ではなく、体内のバランスが崩れることから生じる熱です。

こぼれ話…
中医学では、体温計のない時代に確立された医学ですので「体温が何度以上が発熱」というのはありません。
自分で熱が出てる!!と感じたら発熱なんです。
こんなこと言ってたら、うちのちびどもは学校さぼり放題や…

バランスが崩れたら出る熱?

中医学では、先日書きましたの「五行」という概念と、「陰陽」という概念で成り立っています。
五行は5つがそれぞれが影響を与え合うのですが、陰陽では2つしかありません。
なので、陰陽の間ではバランスが非常に重要になります。

陰陽を熱で考えると、
・陰は冷やす力
・陽は温める力
ですから、 陽>陰となることで熱が出るわけです。

この「陽>陰」となるためには、
・陽が増加
・陰が減少 
の2つの場合があります。

感染症などで高熱が出る場合は、「陽が増加」で「実熱」 という状態。
体調不良などで微熱が出る場合は「陰が減少」で「虚熱」という状態です。 

同じ熱でも、中医学から見れば全く異なる原因なんです。
実熱の場合は、熱を取り除かないといけません。
虚熱の場合は、消火剤を足してあげないといけません。
治療法も全然違います。

さらに、実熱の場合は体が必要だから熱を作っていることが多く、熱を無理やり下げるのはよくありません。
※高熱によるひきつけなど、体質によっては薬で下げたほうが良い場合もあります。
しかし、虚熱の場合は必要なものが足りなくなっているので、補給してあげる必要があります。

というわけで、発熱でも鍼灸治療が必要な場合もあるということでした。